CIMとは?CADやBIMとの違いも解説
建設業界でCIMオペレーターとして働くことは、CADオペレーターやBIMオペレーターとは異なる役割を担うということです。CIMはプロジェクトの情報とプロセスを包括的に管理するため、オペレーターに求められるスキルや業務内容も異なります。本記事では、CIMオペレーターについてCAD、BIMと比較しながら解説しましょう。
CIMとCADの大きな違い
CIMオペレーターは、現代の建設業界において重要な役割を果たす専門家です。彼らはComputer Integrated Manufacturing(CIM)ソフトウェアを使用して、道路や構造物などの3Dモデルを作成し、そのデータを関係者と共有することで、建設現場の見える化と生産性の向上を実現します。
CADオペレーターとの最大の違いは、CIMソフトウェアの使用です。さらに、ソフトウェアを使いこなせるだけではなく、2D図面の知識も欠かせません。そして、CIMソフトウェアの習得には、さまざまなセミナーや講習会、CIM普及団体のレクチャーへの積極的な参加が不可欠です。
そんなCIMオペレーターの業務内容は多岐に渡ります。古いアナログデータからデジタルデータへの移行作業から始まり、施工図の作成、品質管理までがその中核を成します。
とくに、施工図の作成では、従来の2D図面からの進化が求められ、3Dでの表現力が重視されるのです。これにより、現場作業員や監理者との意識のずれを減らし、施工中の事故やミスを効果的に減少させることが期待できます。
そして、需要の高まりとともに、CIMオペレーターへの期待もますます高まっています。2021年の国交省の発表によると、BIM/CIM活用推移が前年度よりも約1.2倍から1.5倍近く伸びており、これから数年間でCIMの普及はさらに加速する見込みです。
そのため、複数のCIMソフトを使いこなせるオペレーターがますます求められることでしょう。CIMオペレーターは、現代建設業界において不可欠な存在として注目を浴びている職業です。
BIMとCIMの違いは導入するプロジェクト
BIMとCIMは、建築およびインフラプロジェクトの管理における重要な役割を果たす技術ですが、それぞれ異なる特性をもちます。
BIMはBuilding Information Modelingの略語であり、Managementも含みます。これは、建築工事における設計、施行、維持管理などのデータを3次元形式で活用する方法を指します。BIMソフトウェアを使用して3次元パーツを組み合わせることで、工事内容や建物情報を視覚化し、プロジェクトチーム全体での理解を促進します。
一方、CIMはCivil Information Modelingの略語であり、社会インフラ、たとえば道路やダムなどのプロジェクトの管理に特化しています。BIMと同様に、3次元データを活用しますが、対象とするプロジェクトが建築物ではなく社会インフラである点が異なります。
つまり、BIMとCIMの大きな相違点は、導入するプロジェクトの種類です。BIMは建築物を対象とし、CIMは社会インフラが対象としています。とくに、道路やダムなどの社会インフラは高度経済成長期以降に整備され、老朽化が進むなかでCIMへの注目度は増加しているのです。
CIMオペレーターは派遣として働ける?
建設業界では労働者派遣が法律で禁止されています。その理由には、安全確保と雇用の安定が関係しているのです。
派遣法では、土木や建築などの建設業務は派遣禁止とされており、派遣業者がこの規定に違反した場合は罰則が科されます。ただし、一部の業務においては労働者派遣が認められているのです。たとえば、事務作業やCAD/BIM/CIMオペレーター、施工管理業務などが該当します。これらの業務は建設現場での直接的な作業ではなく、主にオフィス内での作業や管理業務を担当するため、派遣禁止の規定の対象外とされているのです。
そして、CIMオペレーターの業務は、建設現場での直接的な作業ではなく、主にオフィス内でのデータ処理やシステム操作を行うため、労働者派遣の適用除外となり、派遣として働くことが可能です。また、建設業界では派遣禁止の代わりに、建設業務有料職業紹介事業や建設業務労働者就業機会確保事業制度が導入されています。
これらの制度を活用することで、派遣が禁止されている業務についても、建設業界における雇用の安定や労働者の保護が図られているのです。
まとめ
CIMオペレーターは、建築業界におけるCADやBIMとは異なる役割を果たします。CIMは、建設プロジェクトの情報とプロセスを包括的に管理し、生産性の向上を目指します。CADオペレーターと違いは、使用するソフトです。CIMオペレーターはCIMソフトウェアを活用してプロジェクトの見える化を図り、現場作業員との意識のずれを減らし、効率的な建設作業を実現します。
また、BIMとの違いは、対象とするプロジェクトの種類であり、CIMは主に社会インフラを対象としています。派遣法の規定により、CIMオペレーターは建設現場での直接的な作業ではなく、主にオフィス内での作業や管理業務を担当するため、派遣として働けるでしょう。